読書感想文4

レインツリーの国

 私がこの本を読んだきっかけは、有川浩さんの書くお話が好きだからです。有川浩さんは植物図鑑、図書館戦争シリーズや阪急電車などの著者で、ラブストーリーをよく書き定評もあり、若い人達を中心に人気の作家さんです。本屋さんで有川浩さんの本の棚を見て、この本は薄くてすっきり読めそうだと思って選びました。
この本のあらすじを紹介します。二人の出会いのきっかけは一冊の本でした。学生時代に読んだ、忘れられない小説の感想を検索した信行は、『レインツリーの国』というブログにたどり着きます。管理人は『ひとみ』。気持ちが高まり思わず送ってしまった、メールに返信があり、二人は交流を始めます。心の通ったやり取りを繰り返すうちに、信行はどうしてもひとみに会いたいと思うようになっていきます。ですが、ひとみにはどうしても信行に会えない理由があるのです。その理由とはいったい何なのでしょうか。ひとみと信行の気持ちは通じ合うことができるのでしょうか。
まず、私がおもしろいと思ったところは目次です。各章のタイトルがセリフで書かれているのです。1章なら、「直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな。」といったかんじで1~4章まで書かれています。5章はまとめの章だったので、『歓喜の国』でした。
次におもしろいと思ったところは、信行とひとみのメールのやりとりです。信行は忘れられないライトノベル『フェアリーゲーム』の結末について、自分以外の感想が知りたくてネットで検索をします。そしてひとみが管理人のサイトであるレインツリーの国にたどり着きました。そこでひとみが語った感想に反応したい気持ちが抑えられず、ひとみにメールを送ることにします。長文になってしまったし、とりあえず書いて送ってみただけで、その後やり取りが続くことは全くの想定外でした。信行からのメールにひとみも長文で返し、それからはいつも届いたらすぐに長文で返していました。そこから、お互いの気持ちが盛り上がっている、お互いに徐々に惹かれあっていることがわかりました。
ひとみを繰り返し説得し、ようやく信行とひとみは会うことになりますが、あることがきっかけでひとみがずっと隠してきた秘密がばれてしまいます。気持ちもすれ違ってしまい、喧嘩をしたままその日は別れることになってしまいました。しかし、信行は自分の言い方がきつかったことを気にして、ひとみに謝るメールを送ります。このメールは信行の本音がよく表れていると思いました。謝りたいと言いつつ、ひとみの気に障るようなことをたまに書いていて遠慮のないところが、関西人の信行らしいメールになっています。ひとみも売り言葉に買い言葉で反論してしまい、やはり長文のメールでまた喧嘩になってしまいます。二人の不器用さが読者にとって一番もどかしい場面だと思います。その後、ひとみの抱える聴覚障害について必死に勉強したり、ひとみのトラウマを少しでも和らげるために親戚の叔母さんに頼んで髪を切ってもらったり。フェミニンな服装に華奢なヒールのパンプスではなく、何かあったらすぐに逃げられるように動きやすい服装にかかとの低い靴を勧めたり、信行からひとみに歩み寄っていく姿に感動しました。ひとみもその信行の行動をみて、自分も変わろうと決意できたのだと思います。