読書感想文

芥川龍之介の小説は文章の短い作品が多いので読んでみようと思いました。その中で『鼻』という作品に興味を持ちました。
この小説は、主人公・内供の『長すぎる鼻』が短くなって元に戻る話です。初めに『長すぎる鼻』で人目を気にしていました。『長すぎる鼻』が短くなったら人目を気にしないのにと思っていろいろ試してついに弟子の秘法により『鼻』が短くなりました。ところが短くなったのに前にも増して失笑されるようになりました。それで今度は鼻が元の長さに戻ったらいいのにと思い元に戻ったというユーモアのある面白いお話です。
実は主人公は『長すぎる鼻』が嫌いだったのではなく、『人に笑われる自分』が嫌いだったのです。外見や障害などシュールな自分を気にするのか世の中の自分の風評を気にするのか難しいところです。日本では世間体を気にするので、地域にもよりますが風評を気にする方は多いです。自分がもし『長すぎる鼻』のようなシュールな外見を持っていたら失笑されたら短くしたいです。しかし、世間は整形手術だと笑うでしょう。整形手術と騒がれて失笑を買う自分はもっと恥ずかしいです。
主人公・内供はお坊さんですがきわめて人間臭いと思います。世の中で整形手術が盛んになるのも頷けます。本当に整形手術が駄目なのか考えてみると日本では整形手術で人を欺くことは良くないとされていますが、隣国・大韓民国では容姿・学歴・語学力という3つのスペックがないと就職できない現実から整形手術が盛んになっています。
話が脱線してしまいますが、整形手術は費用も掛かり、身体にメスを入れるなどによるリスクもあります。このことから整形しなくても失笑を買わない世の中があればいいのにと思います。主人公は鼻が元に戻って良かったか悪かったか本人の心理描写が無く、本人の気持ちはわかりませんが、シュールな外見は嫌だけど整形だと人に笑われる自分がもっと嫌というのは自分には痛いほどよくわかります。内面の問題として、他人に対して『ありのままの自分』でいいと言う結論を下すほどの勇気はまだ自分にはありません。
『ニキビ』など治りやすい外見であれば治そうと努力して治します。でもそれが治しようがない障害であれば自分を認めるしかないです。良いところも悪いところも自分を認めることで私はやっていこうと思います。しかし周囲が失笑するとき私は失笑する側には周りたくないです。みんなが思い切り笑い合える世界でありたいです。